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平成22年11月6日と7日、山陽新聞「さん太ホール」(岡山市)で開催した、オリジナルファミリーミュージカル『桃太郎と温羅』(ももたろうとうら)をご紹介いたします。

桃太郎と温羅  第一部

オープニング

幻想的なオープニングのダンスとともに、昔話の世界への誘います。

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昔々、人も動物ももののけも共に力を合わせ、仲良く暮らす国があった・・

穏やかな内海とのどかな山々に囲まれ、豊かな農作物にも恵まれたその土地は大きな天災にも見舞われず、周囲の国からは「晴れの国」と呼ばれていた。

昔々

さあ、みなさんを昔話の世界へご案内しましょう。
今日みなさんにおとどけするのは「桃太郎」。
桃から生まれた小さな男の子が、たくましく成長し鬼を退治する。
そんなお話しは皆さんよくご存知でしょう。今日皆さんにお届けするのは、その昔話に隠された真実のお話。
「鬼は本当に悪い奴だったのか。」
「桃太郎は本当に鬼を退治したのか。」
さあ、皆さんでその真実の扉をあけてみることにしましょう。
「桃太郎と温羅」のはじまり、はじまり。
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村の祭り

 今日は、年に一度のお祭り。大人も子供もみんなで踊って心から楽しむ。
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(「ホラ、そこのおっちゃんも・・」)
ええかぁ
両手を挙げて、右に3回、左に3回、
大きく揺れてぇ
その手を胸に、幸せを祈るんじゃ。

右に3回、左に3回手をたたく。

そしたらうえから、キラキラー

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大きくなったら

祭りの夜、二人の少年がお互いの夢を語り合う。
「毎日がお祭りみたいににぎやかで楽しい世界を・・・」
「毎日笑って過ごせる戦いや災いのない世界を・・・」
二人で作っていこう。
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修行の日々

こうして、二人の少年は、お互いの夢を叶えるため。
時には励まし合い、時には言い争いをしながら、それでも、あの祭りの夜にかわした約束にお互い心変わりはないと信じて・・・

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やがてたくましく成長した二人は、それぞれ別の道を歩む決心をする。

旅立ちの日に

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一人の青年は、平和な世界を作るため、この土地に残り、この土地の民と共に懸命に働く決心をする。
もう一人の青年は、平和な世界を作るため、自分の知識や力を高めることを目指して都へ旅立つ。
村のみんなは、この旅立つ青年を見送るために集まった。
二人の青年は、言葉を交わす。
「離れていても心は一つだ。」
「約束だ。」
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桃太郎と温羅  第二部

鬼の宴

 それから数年後、吉備の国では、鬼たちが宴を始めた。
力強い鬼らしく、激しく踊り回る。
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ここは、本当にあの美しく豊かな吉備の国なのだろうか。

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桃太郎、実はな・・

「そちを呼んだのは他でもない。吉備の国のことは知っておるな?」
「はっ、私の故郷にございます。」
「そうであろう、実はな、今、都や周りの国々で起こっている色々な災いの元を探ったところ、吉備の国に住み着いた鬼どもが、周囲の国に呪いをかけおったのだ。 奴らは、民を脅し、周りが困るのを楽しんでおる。」
「許せない! どうか私に出兵のご命令を・・」
「おお、行ってくれるか。さすがは桃太郎。頼もしいかぎりだ。」

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いざ!出陣!

戦いを決意した桃太郎は、三人のもののけとともに吉備の国へ向かう。

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鬼との対決

「よくも俺のいない間に、こんなことをしてくれたな。」

「お前はもう終わりだ。覚悟しろ。

「家族を、仲間を、故郷を返せ!」

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「お前は何と聞いてここへ来たのだ。」

桃太郎の苦悩

「災いや、流行病はいずれやって来る。そのたびにこのようなことをしていては、平和な世界などやってこないことはおわかりでしょう。」

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「だからこそ桃太郎、お前を行かせたのだ。
 何万、何千という私の兵が士気を高めておる。」

「それを見方とするか、敵に回すかは、
 桃太郎、お前次第だ。」

温羅の決意

「世の中というものは難しいものだな。」
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「一度かえった水は元には戻らぬ。
 民たちにそのような思いをさせてはならぬ。」

「さすがにこの流れは、俺一人ではどうにもならぬ。」

「やはりそうするしか他はないだろうな。」

「愛する吉備の国よ、愛する仲間よ。」

「お別れだ!」

幸せな世界を

「本当にこんな解決方法しかないのか?おれはお前にも幸せになってもらいたいんだ。」

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「おれは十分幸せだった。お前という友に出会えて。」

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エンディング

少年の日に、二人の少年が描いた夢。

その夢を実現しようとして、それぞれの方法で精一杯取り組む二人。だが、時代は彼らの夢を押し流そうとした。
温羅が出した答え、そして、桃太郎が出した答え。
その思いは、受け継がれていく。

原作者より

三原静

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岡山県には、桃太郎にもまつわる像やグッズがたくさんあります。
また、鬼を温羅といい、夏祭りにもなっているほどです。
なぜ、岡山県では鬼がヒーローなのでしょうか。有名な「桃太郎」のお話しでは、鬼は悪者なのに・・・



この地方には多くの、鬼伝説もあり、それらを考えると、どうも鬼は悪者ではないらしい。

いったい、温羅はどういう経験を持つどんな人物(生き物)だったのか。
一方、なぜ桃太郎は桃から生まれたのか、吉備団子とは何だったのか、サル・イヌ・キジとは何だったのか。
なぜ、鬼ヶ島で決闘したのか。

思うに、吉備の国の人は、全国に知られた「悪者としての鬼」ではなく、温羅の本当の姿を知っていたのではないでしょうか。
温羅がどういう人物で、この土地のためどれほど貢献したのか、それを地域の人は知っていた。それが、鬼をヒーローとして扱う理由なのでしょう。

そこから、
温羅と桃太郎は、実は友人だった。
時代の流れはその二人の友情を引き裂こうとした・・・そして二人は決断する。
という、このミュージカル「桃太郎と温羅」が完成しました。

もっとも、今回の桃太郎と温羅は、原作とは大きく異なるものであり、その意味で、演出者の作品であると考えています。

ANOTHER STORY

アハデェ

いつかこのお話しも皆さんにお見せできる日を楽しみにしています。

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アフリカの大地。
その豊かな自然に覆われた平和な村にも世界中から時代の波が押し寄せていた。

医療が進まない村では、現代の医療なら当然救える病気でも、命が失われていく。
村人の安全を守るためには、開発に協力すべきなのだろうか。
それとも開発を拒み伝統を守るために、助かる命を見殺しにするのか。

強引な開発を承諾させる目的でこの地にやってきた隊長は、村を二分しようと画策する。
そんな中、彼の一人娘は、祭りの夜、この土地に伝わる死に至る病に冒されてしまった。

これを直す薬を手に入れる方法はただ一つ。
恐ろしくどう猛なウーが住み、まだ誰も戻った者のいない、死の谷と呼ばれる場所にある薬草を手に入れなければならない。
しかもその薬草は取ろうとすると、さらに強い毒草に変わってしまう。

そこには自然と人間の間には、守らなければならないアハデェ(約束)があった。

(三原静)

ANOTHER STORY

メモリー

近い将来、このお話しも皆さんにお見せできる日を楽しみにしています。

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現代、日本の都会。
周囲からは「変人」と呼ばれる自称天才科学者がいた。
彼は、長年の研究の末、ついに、ある装置を発明した。

それは、人々の脳から、ある一定部分の記憶を取り除くものだった。彼によれば、トラウマになっているショッキングな記憶を取り除くことで、人々を幸福にできるという。
だが、彼の研究に反対する学者は、彼の装置が「記憶の売買」という犯罪に利用されるのではないかと批判した。

その科学者が住む同じ都市の企業に「切れ者」と呼ばれる、若手経営者がいた。その経営者は、人に対して、絶対に甘い顔を見せず、周囲から実力は認められるものの、決して好かれてはいなかった。彼は従業員の仕事ぶりに不満を抱いていた。中でも、優しいが冴えない男を嫌っていた。彼は仕事が遅い人間は価値が無いとすら思っているようだ。
その冴えない従業員といえば、社内では目立たない存在だが、みんなに優しく人に好かれ、家族とささやかだが幸せに暮らしていた。彼には、子供の成長と家族と過ごした幸福な時間だけが財産だった。

 ある日、その男のかけがえのない子供が事故に遭い、大きな治療費が必要になった。だが、彼に大きな貯蓄はなく、そんな費用は作れるはずもなかった。どこでお金を借りようとしても、かなわず、最後の手段として、彼を嫌っている経営者を訪ねた。

 そんな彼が最後に出した答え、それは、彼のたった一つの財産、「幸福な記憶」を売ることだった。
幸せな記憶を売ってしまった彼に待ち受けているのは・・



(三原静)

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平成23年1月22日(土)『全国の小中学校の卒業式で歌われている「旅立ちの日に」の作詞者で、元中学校校長の小嶋登(こじま・のぼる)さんが20日、急性心筋梗塞のため死去した。80歳だった。・・・』
というニュースが流れました。

この「旅立ちの日に」こそ、ファミリーミュージカル「桃太郎と温羅」のテーマ曲だった、というよりも、単なるテーマ曲ではなく、物語のテーマだった。

強い友情で結ばれた二人が、なぜ戦わなければならなかったのか、
そして、どんな別れ方を選んだのか。
この歌のイメージで、物語が完成した。

そのミュージカルを、今後も演出を変えながら、開催したいと考えている。
すばらしい歌(詩)を残していただいたことに感謝し、心から、氏のご冥福をお祈りいたします。

ハートフル・
エンターテイメントグループ
TH@nks

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